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10月の終わりから11月の初めにかけて、マドリードのメインストリートや広場にはクリスマスのイルミネーションの準備が始まります。

これを見ると「うわー!もうクリスマスかぁ。」もしくは、「うげー、もう今年も終わりか!」となるわけですが、とにかく泣いても笑っても容赦なく今年も年末を迎え、そして新しい年がやってくるわけです。

スペインのクリスマスはとても長く、2週間ほど続きます。この期間は宗教的・文化的・そして商業的にもイベントがてんこ盛りなのですが、夏を過ぎて気温が少し下がったかなと感じる頃からなんとなく会話に出はじめ、12月になるとほぼ毎日と言っていいほどどこかの会話に出てくるテーマが「クリスマスの宝くじ」です。わたしはこれを国民的行事と認識していて、収入のある人は誰もが買ってるんじゃないかとさえ思っていましたが、つい最近会社の男子が「僕は買いません。」と言っていたので、そういう人もいるのかと考えを少し改めました。わたしの勤めている会社でも毎年毎年社員全員で同じ番号を買います。番号は大抵2つあって、どちらの購入ももちろん義務ではありませんがわたしは一応両方買います。理由はもちろん「一つでも当たったらうれしいから」だけではなく、他の同僚たちと同様「もし一枚しか買わなくて、買わなかった方が当たったらどうする!」これです。友達同士で買おうかという話になると絶対に「あー、わたし今お金ないしなー」という人がいますが、それでも最後には必ず、「もし当たったらどうする!」と言いながら全員がお金を出すわけです。つまりこのような理由からここの人たちはみーんなこのクリスマスの宝くじを買うことになってるんじゃないかと思っていたのです。

では本題に入りましょう。これは知らないとなんだか全然理解できないシステムなので、もしこの国に住んでいる、またはこの時期にたまたまスペインにいるならば是非頭に入れておいて損はありません。

クリスマスの宝くじ、始まるよー!

夏頃からスペイン各地で売り出されるクリスマスの宝くじの抽選会は毎年12月22日の午前中に行われます。抽選会では、15世紀に創設された長い歴史を持つサン・イルデフェンソ学園の生徒たちが、大きな球形の籠から一つずつ吐き出される小さな玉を拾い、その都度大きな声で「81156・ミールエウロース(1000€)」のように当選番号と賞金額を声に出して読み上げていくのですが、この抽選会の様子はテレビやラジオ、インターネットなどで細かく報じられ(もちろんコメンテーターもいます!)、会場外で日常生活を送っているわたしたちはその状況をそわそわしながら見たり聞いたりして過ごします。この、「宝くじのそわそわを体感する」ことでスペインのクリスマスの始まりを実感すると言っても過言ではありなせん。

仕組みとプロセス

この宝くじは、スペイン国営宝くじ賭博協会が運営する宝くじの中でも5本の指に入るスーパービッグな宝くじです。日本で言うところのサマージャンボや年末ジャンボのようなイメージかと思います。現在でも1763年にこの協会が創設された当初の抽選システムが引き継がれています。以前は協会内の会場で抽選会が開催されていましたが参加者の増加を理由に近年はパラシオ・デ・コングレソスや王宮劇場などの大規模な会場で開催されています。

抽選会当日、会場の舞台には二つの球状の籠が設置されます。ブロンズ・真鍮・鋼からなるこの籠は自動モーターで動きます。直径1.58メートル、空っぽの状態でも850キロという巨大な籠には、重さ3グラム、直径18.8ミリの小さな玉が10万個入っています。この籠の中の各玉にはそれぞれ異なる5桁の番号の組み合わせが書かれています。そしてもう一方の小さい方の籠(と言っても空っぽの状態で400キロ)には1000€から400万€までの賞金額が書かれた玉が1807個投入されています。

抽選が始まるとこの二つの丸い籠が一つ一つ玉を吐き出していきます。二つの籠から吐き出される玉を二人の生徒がそれぞれ手に取り、書かれた数字を大きな声でメロディをつけて読み上げます。つまり、この二人の声によって「当選番号は81156番で賞金は1000€ですよー」ということが分かるわけです。読み上げた賞金額が高額の場合には、二人は主催者の並ぶテーブルに近づいて玉を提示し、主催者がそれらの数字を確認したところで、二つの玉を数字が見える様に並べていきます。

およそ4時間ほど、賞金額の書かれた玉がなくなるまでの1807回このプロセスが繰り返されます。ちなみに賞金400万€の一等、スペイン語ではこれを el premio gordo(エル・プレミオ・ゴルド、18世紀末に宝くじのプロモーションに使われたちょっと太ったキャラクターに由来します。ちなみに英語のGOLDだから金賞という解釈ではなく、gordoはスペイン語で太っちょを意味します。)と言いますが、このエル・ゴルドもいつ出てきてもいいのです。1807回の一番最初に出てくることも、一番最後に出てくることもあり得るわけで、この「次かな、次かな」という期待が購入者の気分を盛り上げてくれるのです。

18世紀末の宝くじ宣伝キャラクター

参加するには?

クリスマスの宝くじは10万通りの番号の抽選からなります。つまり大きい方の籠に入っている10万個の玉全てにエル・ゴルドが当たる可能性があるわけですが、参加券は自分の賭け金に合わせ、販売所、代理店、オンラインなどで購入できます。

  • 1割券(Décimo): 宝くじ専門販売所で購入できる券。 一枚券の1割の価値があり価格は20€。 エル・ゴルドが当たれば400万の10分の一、40万€の賞金があなたのものに!(ただし賞金額4万€以上の高額当選の場合20%の税金を払う義務があります。)
  • 一枚(Billete): 同じ番号と組の組み合わせの1割券の10枚セット。価格は200€です。
  • 組(Serie): 各組に10万通りの数字が用意されています。一組の価格は2000万€です。
マドリードで最も当選率の高い販売所として知られるDoña Manolita。常に長い行列ができています。
By BarcexOwn work, CC BY-SA 3.0, Link

さて、賞金は?

2022年は、発売される1割券は1億8000万枚(1割券 x 100,000枚 x 180組)、賞金総額 25億2000万€が1807個の賞に分配されています。つまり一般に購入される1割券一枚が20€から40万€までの賞金が当たる可能性を秘めているということですね。

1割券の賞金額は次の通りです。(かっこ)内の数字は用意されている賞金の数です。

  • 1等 (el Gordo) (1) : 400,000€
  • 2等 (1) : 125,000€
  • 3等 (1) : 50,000€
  • 4等 (2) : 20,000€
  • 5等 (8): 6,000€
  • 1等の前後賞: 2,000€
  • 2等の前後賞: 1,250€
  • 3等の前後賞: 960€
  • 1等から4等までの最後の三桁と一致する場合: 100€ – Centenas del 1.º, 2.º, 3.er y 4.º premio: 100 euros
  • 1等から3等までの最後の二桁と一致する場合: 100€ – Números que coinciden con las dos últimas cifras del 1.º, 2.º y 3.er premio: 100 euros
  • 1等の最後の数字と一致する場合: 20€
  • Pedrea (石ころ賞) (1794): 100 euros

最後のPedrea (石ころ賞)とは、サン・イルデフェンソ学園の生徒たちが「xxxxx・ミールエウロース(1000€)」と声を上げた数字の賞です。賞金額の書かれた1807の玉から上位5等までの該当番号を持つ13の玉の残り、つまり1794の玉がこの石ころ賞に当たります。

それでは最後に数年前の「エル・ゴルド」発表の瞬間のビデオで是非気分を盛り上げてみてください。会場の盛り上がり方、特に主催者の方々があたかも自分が当たったかの様に喜んでいる姿がなんとも微笑ましい!
そして、もしここスペインでこの時期宝くじを購入する機会のある方は是非是非予備知識を入れてこの日を楽しんでみてくださいね。¡¡Suerte!!

投稿者 : Madoka

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