典型的なスペイン人を思い描いてみよう!と思うと、これってすごく難しい。あ、見た目の話です。というのも、他のヨーロッパ諸国に比べると黒髪率も高く、目の色も暗めの人が多いと言われますが、でもだからと言ってそれがスペイン人の大半というわけではないのですね。金髪で緑や青い瞳を持った友達もたくさんいるし、髪の茶色のトーンも、すごくクリアな金髪ベージュからオレンジがかった赤毛、またはほぼ黒髪に近いこげ茶の人もいます。
そう考えるとスペイン語で髪の色を表現する語彙があまりにも少なすぎる?そんな気がしないでもありません。一般に髪の毛が黒い人は «moreno/a» と言われます。ただ、わたしのようなアジア系黒髪はもちろん、チョコレート色くらいの茶色までは «moreno/a» なのです。それより1トーン明るめ〜こんがりトーストくらいまでが «castaño/a» で、それより明るくなると «rubio/a» となります。面白いなと思うのが、辞書で «rubio/a» と引くと日本語の訳は「金髪」と出てくるので、実生活での «rubio/a» を知らないと、この言葉から髪がきらきらの金髪の男性や女性を想像するかと思うのですが、例えば、この黒髪のわたしの髪が光に反射して茶系の反射がきらりとしたりすると友達が «Estás más rubia, ¿no? (前より金髪じゃない?)» などと言ってきます。こういうコメントがアリなのです。つまり、わたしの理解によると «rubio/a» は「何かと比べて色がクリア」みたいな解釈でいいんじゃないかと思っています。
このような身体的な表現には文化的要素ももちろん入ってくるわけで、北欧の、色のうすーい金髪の人からみたら、茶色の髪ってたとえトースト色でもトーンとすると濃いですよね、だから、彼らから見るとスペイン人の茶色の髪はたとえ明るめでも «moreno/a» となるようで、«rubio/a» と言うには無理があるようです。
ちなみに赤毛は «pelirrojo/a» と言い、この単語だけはなぜか髪の毛を表す «pelo» と赤を意味する «rojo» の複合語。白髪の使い方も少し例外で、白を意味する «blanco» と髪の毛 «pelo» と合わせて使います。ただし «pelirrojo/a» のような複合語でなく、単に単語を二つ並べるという意味です。たとえば、あの白髪の彼という場合には «él, que tiene el pelo blanco» みたいな感じ。もう一つの言い方である «cano/a» の直訳は「白髪の人」というような感じかと思いますが、この言葉は、特にわたしの住むマドリードでは年々使われなくなっているようです。なんか本の中というか昔っぽいというか。使うこともあるし、もちろん使えば意味は伝わりますが、友達同士の会話では、«tengo el pelo blanco» で「わたしは白髪です」とか「グレイッシュヘアです」とかを表現することが多いようです。
余談ですが、こちらでは髪の色が年齢と共に変わっていくというのもかなりよくあることで、小さい時にはクリアな金髪だった子の髪が10代になると茶色になり、その後さらに暗めになっていくということも珍しくありません。上の写真の三姉妹もそうですが、兄弟姉妹でも髪の色も質も全く違うこともよくあります。