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Guía para salir de cañas por España

仕事の後に、ジムの後に、友達とわいわい、彼女とまったり、お父さんと一杯…。人生の楽しみの基本、ビール一杯。これは世界各国どこでも共通ですよね。

けれども、ここスペインでは bar(バル)でビール一杯頼む時にちょっとしたコツが必要なんです。ちょっとぼーっと聞いていると «¡Una caña, por favor!» だったり «Para mi una jarra» と同じビールを頼んでいるはずがいろんな呼び方が飛び交っているわけです。そこで、今日はスペイン地域別ビールの頼み方ガイドと称してさらっとまとめてみることにしましょう。

まずは、誰もが愛する、サーバーから直接注がれる冷や冷やビールから。一般的にこれは «CAÑA (カニャ)» (筒という意味)と呼ばれます。とりあえず «Una caña, por favor (ウナカニャ ポルファボール)» (カニャ一つお願いします)と頼むと、どこででも通じます。通じますが、地域によって量に違いがあります。他の地方に比べ、マドリードでは 110〜140ml とちょっと小ぶり。他の地方ではだいたい 200ml 持ってきてくれます。

«CAÑA» の語源は?

ビールは5500年以上も昔に古代エジプト人によって作られたのが始まりと言われています。ビール作りはパン作りの工程の中で生まれた物で、そのパン作りの起源が1万年前に遡ることから、もう少し前だったのかもしれないとも考えられています。発見されている世界最古のビール作りのレシピによると、彼らは大麦からパンを作る際に生地を水につけて発酵させていました。その後に残った水がビールの始まりとなったそうです。水にはもちろん生地の残りが沈殿しているため、これを飲まないように細くて長い筒(今で言うストローですね)を使っていました。これが語源となり、スペイン語では筒を表す «CAÑA» と呼ばれているのです。

本題に戻ります。もしバスク人がバスク地方の440ml入りの «CAÑON (カニョン)» (大きい筒の意)を頼みたければ、マドリードでは «DOBLE (ドブレ)» (ダブル、2倍の意)でも物足りないかもしれません。他の地方、例えばカスティージャ・ラ・マンチャ地方やガリシア地方、リオハ地方などでは «CAÑA» はマドリードで言うところの «DOBLE» に値します。バスク地方ではマドリードサイズの «CAÑA» は別の名前がついていて «ZURITO (スリート)» と呼ばれています。これはコルドバ出身の人気闘牛士 Gabriel Haba Hargas の愛称が起源になっていて、この闘牛士のファンのグループが名付け親になったと言われています。

次。ビン入りビールに行きましょう。きんきんに冷えた瓶入りビール200mlを頼みたい時には «QUINTO (キント)»(五分の一の意味・1リットルの五分の一量ですね)あるいは «BOTELLÍN (ボテジン)»(小さいビンの意)で通じます。ただ、この «QUINTO»、スペイン北東部では幅広く使われていますが、他の地域ではもしかすると分かってもらえないかも。この場合には «BOTELLÍN» で対応しましょう。

200mlじゃ物足りないあなたは、333mlで。この場合には «TERCIO (テルシオ)»(三分の一の意味・1リットルの三分の一)と頼んでください。ただし、アストゥリアス地方とカタルーニャ地方では名前が «MEDIANA (メディアナ)»(ミディアムサイズの意)に変わります。先ほども言ったようにマドリードではこれが «DOBLE» の量に当たり、ビンではなくグラスに注がれてきます。他の地域では長いコップ入りのこのサイズを «TUBO (トゥボ)»(チューブの意味)と呼んでいる所もあります。

これじゃあまだまだ足りないわ、という喉からからなあなたが覚えなければいけないのは、«JARRA (ハラ)»(水差し、ピッチャーの意)。500mlのジョッキで持ってきてくれます。アンダルシア地方ではこれは «MACETA (マセタ)»(植木鉢の意味)と呼ばれています。

さらに、これでもか!みたいな1リットル瓶があります。«LITRO (リトロ)»«LITRONA (リトローナ)»(リットルの意)、カタルーニャでは «XIBECA (シベカ)» (カタルーニャ地方のビールメーカーの名前が語源)と呼ばれています。

最後に、バケツのようなプラスチックコップに入った750ml。マドリードでは «MINI (ミニ)»、カスティージャ・イ・レオンでは «CACHI (カチ)»、バスク地方では «KATXI (カチ)»«MINI» 以外の二つは「ほぼ」という意味のスペイン語 casi から来ていて、ほぼ1リットルということらしいです。また、カンタブリア地方やアンダルシア地方では、«TANQUE (タンケ)»(タンクの意)と呼ばれています。

今日では、学生も昔に比べてお金を持っていて、大きな器に注がれたビールを何人もで回し飲みする習慣も減ったようで、このマドリードの «MINI» という言葉もなかなか耳にしなくなりましたが、なんだってあんなバケツのようなプラスチックコップに入ったビールがこんな風に呼ばれるようになったのかちょっと気になったので語源を調べてみました。

«MINI» はどこから来たの?

長期独裁を敷いたことで知られるフランコ統治後、マドリードから始まった文化革命が1980年代半ばにかけスペイン各地に広がりました。この時代を象徴する bar はいまだに残っているところもありますが、中でも El Macetero には学生たちが日々集まり、ビールや、赤ワインとコーラを1:1 の割合で混ぜた «CALIMOCHO (カリモッチョ)» を飲みながらわいわいがやがやと社会問題を論じていたのでした。この店のビールはコップやジョッキの大きさによって様々な名前が付けられていました。例えば、12リットル(!!!)入る容器 «LA GRAN MACETA (ラ・グラン・マセタ)» (大きな植木鉢の意味)から始まり、小さくなるにつれ «El licenciado (エル・リセンシアード)» (大学卒)«Universitario (ウニベルシタリオ)»(大学生)、 «Graduado (グラドゥアード)» (大学だけでなく、広義として様々な教育機関の卒業資格取得者)、そして一番小さいのが750ml サイズの «EL MÍNIMO (エル・ミニモ)»(一番小さいの意) だったわけです。この一番小さいサイズの名前がそのまま生き残り、今もまだ «MINI» として愛されているというわけです。

これで、もう迷うことはありません。スペイン各地どこに行っても、元気よく自分の好きなサイズのビールをさくっと頼んでみてくださいね。

(今回の記事は、下のビデオを参考にしています。)

投稿者 : Madoka

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