スペイン語を学んだ人なら誰でも、この «tú» と «usted» の使い分けについて一度は考えたことがると思います。とりあえず、知らない人や年配の方には «usted» と、そんな感じでインプットされているのではないでしょうか。
わたしもスペインに来る前やスペインに住み始めた当初はこの教えに倣って使い分けようとしていましたが、それよりもどうせ主語は省略しちゃうし動詞の活用の最後の «s» を聞こえるか聞こえないかくらいの大きさで言えば、あんまり考えなくてもいいんだ!ということに気づいて、その荒技を駆使していた時期もありました ?。
けれど数年の滞在ならまだしも、とりあえずは永住しようと考えている身。やっぱりちゃんとしたいなーと思い、周りの人たちがどんな風に使い分けているのかを観察してみることに。
実際の生活では?
1. 知らない人に道・時間を聞く
わたしの夫が、小学生の男の子に時間を聞かれた際「 ショック!«usted» を使われた。」と驚いて帰ってきたことがあります。つまり彼の中では «usted» 扱い=年寄り扱いという認識があったわけです。もちろん彼自身も知らない年配の方に «usted» を使っているのを見たことがあります。まぁ、道で知らない人に何かを尋ねる場合、わたしは大体聞きやすそうな人に聞くので、そうすると自然と年配だろうが同年代だろうが «tú» を使っちゃいますが。
2. お店、銀行
店員さんや銀行の窓口の人たちはお客様にはやっぱり «usted» を使います。これは当然ですが、バルとかパン屋さんとかはもっと気軽な感じでいきなり «tú» であることも少なくありません。ただ、実際より若く見える日本人ではありますが、わたしは最近になってお店で «usted» だとか «Señora (マダム)» と言われることが増えたかと実感しています。そうなると、やっぱりそれまでは小娘と思われてたんだな、やっと大人の女性としての敬意を払われているのかなと、ちょっとうれしくなったり。
3. いわゆる権威あるお仕事についている人
警察官や医者、政治家、大学教授など、世間一般に権威あるお仕事についている人へはとりあえずみなさん一般常識として «usted» を使うようです。もちろんその方達も仕事上では一般市民、マスコミ相手、国会の答弁、学生に対し «usted» を使われています。つまり、子供の診察などに行く時などは、いくらわたしより若い先生であったとしても、先生もわたしもお互い «usted» を使って話します。
4. 学校で
生徒が先生に «usted»?これはあまり聞かないですねー。先生と生徒は友達関係ということでもないですが、そこまで厳しい上下関係もないようです。ただ父兄面談なんかはちょっと微妙。先生にもよりますが、ずーっと «usted» を使ってくる方もいらっしゃいます。そういうときは、こちらももちろん礼儀として同じように対応します。ちなみに、多分一般的なパターンは初対面の挨拶は «usted» 、そのまま色々と話しこんでいうるちに自然と «tú» に変わっていって、それ以降、つまり二度目の面談があったならばその時はもう «tú»、なような気がしています。
5. 上司
職場の雰囲気にもよると思いますが、マドリードの普通の会社、特に若い人がはりきっているような会社では上も下も関係なく«tú» ですね。社内で何度か求人面接をしたことがありますが、わたしのいる会社ではその社風から基本的に «tú» で話しますが、たまに、«usted» を使ってくる人もいます。
6. 隣人
何年か前に引越しをして、ピソ(日本でいるところのマンションとかアパートのような集団住宅)の同じ階段に年配のご夫婦がいらっしゃって、わたし的にはやっぱりここは当然 «usted» と思っていたんですが、違いました。やっぱり顔を合わす頻度が高い場合には、自動的にみなさん «tú» を使うようです。
7. 南部出身者
わたしの経験からみて、アンダルシア出身の人は «tú» はほとんど使わないんじゃないかと思います。社内にカディスやセビージャ出身の同僚がいますが、中南米出身の同僚同様、いつでもどこでも何年マドリードで働いていても、彼らは、«usted» を使うようです。